職場における良好な人間関係の形成について

ある会社の支店長は、「仕事の半分以上は、職場おける人間関係によるものだ」とこぼしていました。経営者にとって最大の悩みの種が職場における人間関係です。

1970年代以降、難しくなった労働環境に対して、欧米諸国や日本において各種の組織的な対策が行われてきました。例えば①職務満足(職務拡大、職務充実)、②安全衛生管理の充実、③作業環境の快適化などが挙げられます。また、「労働者の人間化」として、(イ)良好な人間関係を形成すること、(口)労働を自主化すること、(ハ)労働者の経営への参加、ということが言われてきました。

具体的な施策としては次のようなものがあります。

  1. 職場の意思疎通を図るための職場懇談会
  2. 全社的なコミュニケーションの手段としての社内報の発行
  3. 上司と部下の意思疎通を図る面接制度
  4. 人間関係の親睦化を企図したレクリエーション制度
  5. 従業員のモラールを調査するモラール・サーベイ(従業員態度調査)
  6. 福利厚生制度
  7. 労使協議会の実施
  8. 提案制度

⑧の提案制度とは、人間関係の中で、下からのコミュニケーションを図る制度で、従業員に、製品技術、作業条件、安全衛生などについての着想や改善意見を提案させ、その提案を評価し、実施可能なものは採用して賞金を出すなどの方法で運営されています。提案の実施による合理化、コストの削減などの直接的効果のほか、会社や仕事に関する関心、モラルの向上が期待できます。

これらのことは、どこの企業でも実施され効果も挙げているかと思います。しかし、最近は個人情報の保護、パワーハラスメント、うつ病対策など新たな問題が続出し、経営者にとって職場における良好な人間関係の形成は、一層難しいものになっています。また新たな対応策が必要となっています。

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