「人事・労務管理」から「人的資源管理」ヘ

人事・労務管理には、「このとおり行えばベスト」というものがなく、経営者は、「ヒト」に関しては失敗の連続です。また人事・労務管理は時代背景や法律の改正、従業員の気質やその企業の現状などに応じて、常に変化していくことが求められます。そもそも「人事・労務管理」という言葉自体がもう時代遅れになり、最近ではこの言葉に代わって「人的資源管理」と呼ぶことが増えています。この「人的資源管理」は従来の「人事・労務管理」とは異なり、経営戦略及び経営組織との連動性に重点を置いています。経営は、「戦略を立てる、組織を作る、人を動かす」の3つから成り立ちますが、人を動かすためには、しっかりと戦略及び組織との連動性を執らなければなりません。

企業で働く個人は、生活維持の欲求や自己実現といった様々な動機を持っています。動機についてもっと具体的にいえば、賃金水準・賃金体系、仕事内容、労働者の適正・能力に応じたやり甲斐のある仕事の与え方、公平な評価に基づく賃金の支払・人事異動などです。また、経営理念もインセンティブとして大きな力を持っています。人は自分が企業で働くことによって社会にどのような貢献をしているのかという視点を重視するようになり、企業の経営理念と自ら(労働者)の理想が一致すれば使命感に近いものを持って仕事に取り込むことになります。

経営戦略上の目標を達成するために異なった動機で働いている個人に対して適切なインセンティブを与えて、個人のエネルギーを組織目標の達成という同一ベクトルに向けさせることが企業における人的資源管理の基礎となります。そして個人目標と組織目標が整合性を持ったとき、組織としてのアウトプットは最大になります。

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