
常時10人以上を使用する事業場では就業規則の作成・届出、従業員への周知義務があります。しかし10人未満の事業場でも就業規則の作成は必要です。なぜなら就業規則がないと懲戒処分ひとつできないということにもなりかねません。特に懲戒解雇に関しては、懲戒事由が細かく規定され、明記されていなければ懲戒解雇は成立しません。懲戒解雇に相当するか否かを判断するには、規定されている解雇事由に基づかなければならないからです。最近の傾向としては、「飲酒運転の禁上に違反したとき」の条項を懲戒解雇事由に追カロする会社が多くなっています。また服務規律の定めに漏れがあるために、それが社内秩序の乱れの要因となる場合もあります。このような事態にならないため、「その他、前号に準ずる不適当な行為をしないこと。」のような包括条項を付け加えることも大事です。
平成19年4月1日から改正された法律があり、就業規則の変更が必要になっています。一例を挙げますと、改正男女雇用機会均等法では、「女性の差別の禁止から「男女双方に対する差別」へと性差別禁上の範囲が拡大されました。例えば、「セクシャルハラスメント」について女性に対するばかりでなく、男性に対しても保護の対象にしていますので、文言を変えなければなりません。
就業規則は、会社が社員に対し会社の決めたルールを明らかにすることで労働条件を画一的に制度化し、職場のトラブルを未然に防ぐためのものです。一方、経営者の理念や価値観を社員に浸透させ、会社業績の向上をもたらすため必要不可欠なものといえます。そういう意味で、最高の就業規則とは、「社員のモチベーシヨンが上がり、能力の最大限の発揮があり、会社が儲かる」ものということができます。