
労働基準監督署は、労働基準法や労働安全衛生法などの労働法規違反を捜査し、地方検察庁に送致するという権限を持ち、それらの業務も行っています。事業主は、重大又は悪質な法違反を犯した場合には、強制捜査、事情聴取、送検、裁判への対応、損害賠償の支払など金銭と人的との両面で多大な影響が出ます。また、事業主は賃金不払い事案の場合、最大過去2年前まで遡って不足額を支払わなければなりません。とにかく事業主は最低限、次の法違反をしてはいけません
賃金不払い
賃金は、労働者の労働という商品の代金です。しかも、労働者は賃金によってのみ生活を維持しています。事業主が労働者に対して約束どおり賃金を支払わないというのは、極めて悪質な法違反と判断されます。
過重・不法な長時間労働
労働安全衛生法違反が原因となった従業員の労働災害(死亡重傷)
事業主に労働安全衛生法の違反が無く、きちんと必要な安全対策がとられていれば、従業員の労働災害は防げます。この点からして、法違反のために死亡重傷という事故があった場合、極めて悪質であるとして送検されます。
労災隠し(労働者死傷病報告の不提出・虚偽報告)
事業主は、労働災害その他労働者の死傷病(死亡災害又は休業4日以上のもの)が起きた場合には「労働者死傷病報告」を労働基準監督署に提出することが義務づけられています。これを提出しなかったり、虚偽の報告をした場合には法律違反になります。これらの場合、事業主は、被災労働者の労働基準監督署への労災補償給付の請求を妨害することになります。これらの労災隠しは、極めて悪質であるとして送検されます。