
賃金は、法律的規制の範囲内で企業ごとに自由に設定することができます。法律的規制とは、賃金支給の5原則、平均賃金(解雇予告手当、休業手当、年次有給休暇の賃金、災害補償、減給の限度を算定する際の基準として用いられます)、減給制限、男女同一賃金の原則及び最低賃金です。
賃金は、労働者にとって最も重要な労働条件です。それだけに、その決定の方法いかんによっては働くものにとってモラールアップに大きく貢献することもあれば、逆に労働意欲の減退につながることもあります。人事・労務管理のなかでは、賃金管理は他の労務管理の機能のように1つか2つの特定の機能を持つだけではなく、人事・労務管理のほとんどの機能に関係しています。これが労務管理のなかで最も重要視される理由です。賃金管理が人事・労務管理に関係している領域として次のものがあります。
- 適質な労働力の調整・定着としての雇用管理
- 労働能力の質の向上を目指す人材育成管理
- 労働力の保持・保全を図るための労働条件管理
- 各種のインセンティブ賃金制度
- 人間関係管理
①経営への信頼感、②従業員間の人間関係の円滑化、③労使関係の円滑化
- 人事考課制度
(1)から(6)までのなかで賃金管理と最も結びついているのが人事考課制度です。人事考課の基本的な目的は、従業員の行動、能力、業績などを公正に評価し、その評価結果を賃金や昇格、役職の任命などの処遇に反映させることです。経営者にとって、自社に適した賃金制度と公正な人事考課を行うことは、最も頭を悩ますテーマです。