
新卒の従業員は、学力はあっても職業上の知識や技術を持ってはいません。こうした従業員は働きながら知識や技術を身につけることを要求されます。また、経営環境や技術が急速に進化する現代では、従業員が保有する技術力や知識は必ず陳腐化するため不断に教育訓練が必要になります。
例えば教育訓練の課題による分類とその技法には次のようなものがあります。
- 知識教育は講義法
- 技能教育はロール・プレーイング
- 問題解決は事例研究
- 独創力の開発はブレーン・ストーミング
- 態度・人格の変容は感受性訓練
- 判断力の育成はビジネスゲーム
という具合にいろいろとプログラムがあります。
一方、能力開発とは、主として経営者、管理者、監督者、専門職などのような企業の各レベルや各分野で重要なポストにある者が、企業環境の変動に対応して、適切な企業戦略や新商品開発などの意思決定をできる能力を身につけさせることです。これらの能力は、一般の教育や訓練ではなくて、主として自己啓発によって取得できるものです。
よって、能力開発は、経営者等の自発性をどのように引き出すか、自己啓発と職務遂行能力の拡充をどのようにつなげるか、どのようにして自己啓発の努力を継続させるか、また成果の評定をどのような方法で行うかということが課題になります。このなかで「経営者等の自発性をどのように引き出すか」というのが最大のテーマです。
引き出す方法として二つ挙げるとしたら、まずひとつは、「人として誰もが認めてくれるような存在意義(独自性とか長所など)を持っているのかどうか、何も持っていない人間は他人に認められないためどうしても不安に苛まれものだよ」と自分自身を見詰めさせる。もうひとつは、誰もが持っている「なにクソ、負けて堪るか」という負けじ魂に火を点ける。このように能力開発は人間くさいところが勝負です。