パワー・ハラスメントについて

パワー・ハラスメント

パワー・ハラスメントとは、権力や地位を利用した嫌がらせという意味で使われる言葉です。会社などで職権などの権力差を背景にして、本来の業務の範疇を超えて継続的に人格を傷つける言動で就労者の働く環境を悪化させる、あるいは雇用不安を与える行為を言います。この言葉は、2002年に岡田康子さんの造語による和製英語で、現在では過労死と共に日本の労働問題から発生したものとして海外で知られています。

パワー・ハラスメントをめぐる裁判では、セクシャル・ハラスメントに関するものと同様な趣旨の判決が出ています。職場でのいじめが原因で自殺した職員に対して、使用者側の賠償責任が問われたケースでは、安全配慮義務違反として使用者に損害賠償が命じられています。それは、パワー・ハラスメントは単なる個人の問題や特殊な事件ではなくて、職場の労働問題であり、会社は職場環境に関して責任を問われる時代になったことを意味します。

職場でパワー・ハラスメントが発生するということは、個人的な問題ではなく会社の「ある状況」(例えばノルマ至上主義、従業員使い捨て等が考えられます)が引き起こした問題といえます。それに対して会社は、何が原因なのか考えなければなりません。例を挙げると、

  1. 経営理念はこれでいいのか
  2. 経営組織のバランスが崩れていないか
  3. リーダーシップとは何なのか
  4. 人事労務制度に問題はないのか

などです。職場におけるトラブルに対応するためには小手先の改善策では無理です。そこには経営理念の成分化、経営戦略の抜本的見直し、経営組織の変更、そして人事労務制度の改革が必要です。これらが一本の糸で繋がってはじめて「人事労務システム」が完成します。経営者としては、トラブル対応として全社的な抜本的改革に取り組む必要があります。

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