
解雇とは、使用者の一方的な意思表示による労働契約の解除のことです。
労働基準法は、解雇そのものは規制していませんが、解雇制限期間等の解雇制限措置と、解雇する際の手続き(予告等)を定めています。
まず、解雇制限期間等とは、労働基準法の第19条で、労働者が業務上負傷したり、病気になった場合に、その療養のために体業する期間及びその後30日間と、産前産後の女性が労働基準法第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は解雇できないことになっています。
また、解雇する際の手続きは、労働基準法の第20条で、労働者を解雇する場合は、30日前の解雇予告か、30日分の平均賃金(解雇予告手当)の支払が必要になります。
労働基準法第20条の但し書には、解雇予告や予告手当の支払をすることなく解雇することができる(解雇予告除外事由)、というのがあります。それは
- 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
- 労働者の責に帰すべき事由
による場合です。具体的には、
- 横領、傷害等の刑法犯
- 重大な経歴詐称
- 2週間以上の無断欠勤
- 出勤不良
などです。ただし、この除外事由の存否については、労働基準監督署長の認定を受ける必要があります。また、解雇予告の必要がない労働者として試用期間中の者が該当します。ただし、14日を超えて引き続き使用されるに至った場合には解雇予告が必要となります。
事業主の中には、解雇予告手当てさえ払えばいつでも辞めさせられる、と思っている人も多いのですが、それは間違いで、特に普通解雇(業務に不適格な従業員等の解雇)や懲戒解雇は、整理解雇(一般に言われている「リストラ」)よりも制約は大きく、法律的には余程のことでない限り解雇は難しいといえます。