
労働派遣事業とは、派遣元事業主が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて、この派遣先のために労働に従事させることを業として行うことをいいます。また、請負とは、労働の結果として仕事の完成を目的とするもの(民法第632条)です。労働者派遣との違いは、請負には、注文主と労働者との間に指揮命令関係が生じないという点にあります。
2003年の労働者派遣法の改正により、従来は除外されていた製造業も派遣対象業務になり、大半の業務において労働者派遣が可能となりました。そのなかで現在、労働派遣事業の適用除外業務は次の通りです。
- 港湾運送業務
- 建設業務
- 警備業務
- 病院等における医療関係の業務
現在の派遣労働の多くは登録型です。派遣先就労が決まると、労働者は派遣元(派遣会社)と「期間を定めた労働契約」を結びます。こうした派遣労働では、「中途解約」の事例が多く報告されています。派遣先の勝手な都合や判断で、派遣社員の受け入れを一方的に拒否することがきっかけです。派遣元は、労働者との間の「期間を定めた契約」を、その期間、中途で解約をすることが原則としてはできません。この点がトラブルの原因になります。
請負に関しては「偽装請負」が問題になっています。「偽装請負」とは、企業などが、形式的には、別会社(請負業者)の従業員を、実際には自己の支配下で働かせて利益を得ながら、使用者責任を回避する違法行為です。これは「間接雇用」に関連した規制を定める職業安定法、労働者派遣法だけではなく、労働基準法、労働安全衛生法、健康保険法、税法など、使用者としての責任を定める関連法規すべてに違反することになります。