雇用調整助成金の特例について

4月10日(金)の十勝毎日新聞において、厚生労働省発表で「雇用助成金申請簡素化」の記事が掲載されていました。「雇用調整助成金(略して雇調金といわれてます)」は受給までにハードルが高いために申請をあきらめてしまうケースが多いのが実情です。それが今回は、新型コロナウィルス感染症の影響を踏まえ、特例を追加実施するとともに記入事項や添付書類を大幅に減らすなど受給までのハードルが低くなりました。

「雇用調整助成金」とは

「雇用調整助成金」とは何かといいますと、「経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向を行い、労働者の雇用の維持を図った場合に、休業手当、賃金等の一部を助成するもの」です。もともとあるこの助成金に特例を追加実施することになりました。

特例の対象となるのは「新型コロナウィルス感染症の影響を受ける事業主」です。また、休業等の初日が、令和2年1月24日から令和2年7月23日までの場合に適用されます。

特例措置の内容

  1. 新規学卒採用者など、雇用保険被保険者として継続して雇用された期間が6か月未満の労働者についても助成対象にする。
  2. 過去に雇用調整助成金を受給したことがある事業主であっても、前回の支給対象期間の満了日から1年を経過していなくても助成対象となる。
  3. 令和2年1月24日以降の事後提出が、令和2年5月31日まで可能となる。
  4. 生産指数(売上等)の確認期間が3カ月から1カ月に短縮。
  5. 事業所設置後1年未満の事業主についても助成の対象。
  6. 最近3カ月の雇用量(雇用者数)が対前年比で増加していても助成の対象。

初回の計画届に必要な書類(休業の場合)

  1. 休業等実施計画届
  2. 事業活動の状況に関する申出書

添付書類

  1. 労使協定書(労働者代表確認書類を含む)
    1. 休業の実施予定時期・日数
    2. 休業の時間数
    3. 対象となる労働者の範囲及び人数
    4. 休業手当額の算定基準
  2. 事業の状況に関する書類(所定労働日、時間や賃金制度のわかる書類等)

その他の主な支給要件

  1. 雇用保険適用事業主であること
  2. 受給のための審査に協力すること
  3. 労使間の協定により休業等を行うこと
  4. 休業手当の支払が労働基準法第26条の規定に違反していないこと

労働基準法第26条とは「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない」というものです。今回の新型コロナウィルスは、使用者の責に帰すべき事由であるのかどうか疑問に思う人もいるかと思いますが、従業員を休ませる場合には、やはり休業手当は必要かと思われます。休業手当の額が法定の60%を下回っている場合は助成金の対象にならないことに注意する必要があります。

確認書類として、出勤簿・タイムカード、賃金台帳は必要とされますが、その根拠となる就業規則、給与規定及び雇用契約書が整備されていなければなりません。こうしてみると日ごろの労務管理が大事になります。

詳細は、厚生労働省のホームページに掲載されている「新型コロナウィルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置に関するQ&A」(随時更新)をお読みください。

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